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桐本泰一(きりもと たいいち)さん プロフィール
桐本木工所3代目。
木地屋からの創作漆器デザイン提案や木地屋が想う漆の創作を行っている。輪島市河井町に「ギャラリーわいち」、三越日本橋本店・5階・J.スピリッツに「輪島キリモト」、著書に「いつものうるし」桐本泰一監修(ラトルズ)がある。
http://www.kirimoto.net/index.html |
増田多未(ますだ たみ)さん プロフィール
コド・モノ・コト・ジムキョク。
女子美術短期大学造形科生活デザイン、桑沢デザイン研究所U部プロダクトデザイン卒業。おもちゃを輸入する会社でこどものモノに興味をもって10数年。こどもと一緒にできることを模索して2005年5月コド・モノ・コトを始める。
http://www.codomonocoto.jp/
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ふたりの出会いは、
コド・モノ・コトの“うるし塗りのスプーン”。
「おとなが赤ちゃんの口に食べ物を運んであげる時期から、初めて自分で道具を使って食べる時期」のスプーンを、増田さんがデザイン、桐本さんが製造プロデュースしました。
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| 漆の木 |
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| 漆の樹液のための傷 |
1. うるしって何?
漆の木の樹液です。
2. うるしってどうやってできるの?
15年〜20年を経て最も樹液がよく出る樹齢に達した漆の樹皮に傷を付け、その傷を治すためににじみ出た樹液を採取します。採取時期は6〜10、11月、1本の木から牛乳瓶1本分しか取れない貴重なものです。
3. ほんものの漆塗りの特徴は?
天然木の木地に天然漆を塗った100%ナチュラルな素材を使用していることと、木地、塗り、加飾などの職人の技が生かされることが第一の特徴です。
4. 木地に使われている朴ってどんな木?
日本全国で見ることができる広葉樹。幹は灰緑色、木質は均一で耐水性もあります。適度に固く、適度に柔らかいので木をくるという加工に向いています。
5. うるしが木に塗られるとどうなるの?
木自体を長持ちさせるとともに、抗菌・滅菌の効果も与えます。見た目の特徴としては、他の人口塗料に比べてつやがあり、深みと奥行きでふっくらして見えます。色名のひとつである"漆黒"とは、こうした漆の特徴からきています。
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| コド・モノ・コトの“うるし塗りのスプーン”がつくられていく様子。朴(ほお)を刳って作った木地に、輪島塗で丁寧に仕上げられています。 |
桐本さん
「しまったままにしないでまずは箱から出すこと。そして普段目に付く一番使う食器棚の中に入れます。毎日使えるきっかけを作ってあげてください。」
桐本さん
「輪島では昔からうるし塗りの製品を歯がためにしていたと聞いたことがあったんです。赤ちゃんの口にあっていたんでしょうね。そこで、第3子で娘が生まれた時にうるし塗りのスプーンを歯がために与えてみました。噛み心地がよかったんでしょう、ずっと噛んでいましたね。そのうち離乳食をこれで与えるようになり、後に生えてきた歯で思いっきり噛まれて欠けてしまいましたが、いまでも当時の状態のままとってある思い出のスプーンです。」
増田さん
「赤ちゃん用に作ったものなんですが、大人が使ったらどうなんだろうと、いろいろ試してみました。柄の長さと細さがちょうどジャムのスプーンとして使いやすくてよかったですね。あとシャーベットを食べるのにも使っています。
固く凍った部分もガリガリと遠慮なく削って大丈夫。金属のスプーンを使うのと同じように普段使いしています。友人の息子さん(1歳半)に使ってもらったら、自分で持って口に運んで食べてくれたようです。子供にとって道具を使って食べるということは簡単なことではないと思うんですが、ちょうど持ちやすく、スプーンの部分も小さくて口に収まりやすい形になっているので、気に入ってくれているようです。」
| コド・モノ・コトの“うるし塗りのスプーン”。蒔地(技法)は、輪島で産出される珪藻土(けいそうど)を焼成粉末にした「地の粉」と漆をかけ合わせた漆塗りで、
表面硬度が高くキズがつきにくい仕上がりです。 |
桐本さん
「これは誰のものというわけではなく、家族みんなで使っています。カレーやマーボー丼、八宝菜のあんかけご飯などを食べるときに特に活躍してますね。香辛料が入った料理に使っても全然大丈夫です。
スプーンはもちろん、うるし塗りの器にカレーを盛って食べてももちろんOK。金属のスプーンが当たっても傷つかない固い加工のうるし塗りもあるんですよ。」
桐本さん
「僕は3年ぐらい使っています。スプーンの縁がはげてきたりしていますが、今のところそのまま使っています。」
増田さん
「わたしは2年ぐらいです。少し艶が出てきましたね。」
桐本さん
「磨き粉の付いていないスポンジに中性洗剤をつけて洗います。あとは水道水ですすいだらそのまま放っておかないで、洗いざらしの綿布で水分を拭き取ったほうがいいですね。これをすると水道水のカルキが表面にくっついて白い斑点のように残るのを防げます。これは漆器だけに限らず、ガラスや他のものも実はみんな水分を拭き取った方が白くならずにキレイに保てるんですよ。」
増田さん
「洗剤は使わずオーガニックコットンやアクリル毛糸のタワシなどで洗っています。」
桐本さん
「長期収納する時には、できるだけ乾燥していないところがいいですね。現代住居は高いところほど乾燥しているので、逆にカビがつくくらい湿気がある下の方に。たとえカビがついてもそれはうるしの内部についたものではないので、さっと拭き取ればすぐにイキイキしてくるので大丈夫ですよ。それから重ねる場合は漆器同士まとめて、陶器や金属類と重ねない方がいいですね。」
桐本さん
「まずは買った店に相談してください。また、わからないときは、作り手が在店している個展、企画展へ持ち込んで相談するのも一つの手段です。穴があいているような深いキズは、うるしと地の粉と米のりを混ぜてパテ状にして埋めて、その上からうるしを塗ります。漆器を修理することを"なおしもん"といいます。修理の仕方は状態によって様々ですが、上塗りをして塗りを厚くすると、もっと丈夫になりますよ。まずは買った店に相談してみてください。」
桐本さん
「スプーンだけでなくうるし塗りのもの全体に言えるのですが、電子レンジ、食洗機は使わないで下さい。
陶器やガラスなど他の素材のものといっしょに洗い桶に入れたりするのも、傷の元になるので避けた方がいいですね。
熱いものについては、沸騰直後のものは入れないでください。スイッチを切り、少し落ち着いた70〜80度の程度であれば大丈夫です。
冷たいものについては、氷や冷えたビール、焼酎のロックでも大丈夫。ただ、長時間冷蔵庫に入れっぱなしにするのは避けてください。冷蔵庫の中は乾燥していて漆器にとっては辛い環境ですから。」
| おとながこどもに離乳食を食べさせやすいように、指のかかる部分に厚みを持たせています。また、こどもが持ちやすいように、柄の部分が弧を描いています。 |
愛用バランスシートとは、愛用者にどのようにそのモノと関わっているかを6つの指標で回答してもらい、愛用状態を図表化したものです。
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増田さん
「うるし塗りのスプーンの魅力は、口に入れたときに、手に持ったときに優しいということだと思います。アイスクリームやシャーベットなどを食べるときでも、金属スプーンと違って冷たさがダイレクトに唇に当たらないので、味も柔らかく感じます。うるしという天然の塗料を使っているので安全ということも選んでいただいている理由のひとつだと思っています。」 |
桐本さん
「一番大事なメンテナンスは、普段から使うこと。使うことで保湿されていくからです。使うほどに"使いづや"が増して味が出てきますよ。うるしは水分を与えないと乾かないという特徴があります。だから漆器は保湿が大事、100年経ったものでも保湿成分を保ちながら存在しているんです。手で持つとピッタリ手に吸い付く感じがする、口をつけると唇に優しい、頬擦りすると当たりが柔らかいのもこの水分のおかげなんです。 |
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また、漆器は陶器やガラスと違って落としても割れないし、修理もできるんです。だから、扱いが難しそうという理由で使わないで置いておくなんて考えは捨てて、とにかく使ってみてください。使うと、ああこの器にはこんな料理が合うんだなと感じてもらえるし、ポイントさえ抑えれば扱いもカンタンなんだと納得できるはずです。
中には"安いものじゃないからね"とおっしゃる人もいる。もちろんその通りだし、漆器を選ばない方がいるのも分かります。
でも、知らないから使わないのではなく、知ってから選ぶかどうか決めていただきたい。一度使ってみればいいのものだと、一生ものとして使っていただける価値があるものだということを、実感していただけると思います。」
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お気に入りのデザインや素材、使えば使うほど出てきた味わいなど、あなたが日々使っているスプーンを“ルームフレーバー”として公開してください!
もちろん、今回ご紹介のうるし以外の素材や、買ったばかり(これから愛用するぞ!という意気込み)でもOKです! |
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