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SPECIAL LIFESTYLE 「出会わせることから、」 まえをけいこ。

花、本、雑貨…いろいろなものたちに育まれたものづくりの感性

「子供の頃の写真を見ていると、レンゲやたんぽぽやシロツメクサが咲いている原っぱで一人で寝転んでいるのが多くて。今でも原っぱとか見ると寝転びたくなるんですよね。桜の幹にスリスリしている写真もあって。大きくなった今も桜は大好きで、花に顔を突っ込んで花の感触を楽しんだり、香りを深く吸ったりとか。そういうのがすきですね」

──すきな感触というのが昔からあるというまえをさん。子供の頃は"毛布ちゃん"と名前を付けた繻子織りの柔らかい肌がけを大事にしていた。
「今でも端っこだけ切ったものを取ってあります。"毛布ちゃん"もそうですが、何でも捨てられないし、何でも思い出に残したいんです。例えば散歩の途中で降ってきた花は、そのとき読んでいた本の間に挟んで押し花にしたり。ポケットを探ると貝殻や小石、どんぐりなどがでてくるんです」

──小さい頃から本も大好き。まだ字が読めないうちから自分でお話をつくっていた。
「小2くらいから童話作家になりたいと思ってました。その当時サンリオショップに行くとちょっと大人向けの詩集とか画集があったんですが、いわさきちひろさんとか永田萌さんとかの絵がかわいいなぁと思っていました。もう少し字が読めるようになると童話作家の立原えりかさんの作品が好きになって、1000円以上する布ばりの本をお小遣いを溜めてちょっとずつ集めました。クリスマスのときは普段買えない大きな画集をもらうのがたのしみでしたね」

──小学生の頃から絵が得意で、クラスの友達に絵を描いてと頼まれることもしばしば。そのうち絵だけでなく文章を入れて、形になったものをつくりたいという思いが生まれ、卒業文集には「絵本作家になりたい」と思いを書いた。
「中学でも絵は描き続けていたんですが、中3くらいで雑誌の『オリーブ』を読み始めたらああいう世界感がすきになって、そのうち服や雑貨にも興味を持ち始めました。高校生になる頃には部屋が雑貨屋のようになってましたね。お店風に飾るのがすきで。例えば古着の子供服のワンピースを壁にディスプレイしたり、いすにバイオリンケースを置いてドライフラワーを飾ったり。子供の頃に買ってもらったものも仕舞込むよりは、飾り棚を作って飾るのがすきだったり。何か構成するのがすきだったんでしょうね」

──高校卒業後は、文系の大学に入学。でもやっぱり絵は描き続けていた。
「大学ではパンフレットの表紙を頼まれたり、カレンダーのデザインをやったり。そうするうちに学生時代からイラストの仕事が少しずつですけど入るようになりました。4年生の時に自分で作ったレターセットを雑貨屋さんに持ち込んだら、それが置いてもらえることになって。学歴は関係なく、可愛いか可愛くないか純粋に作品を見て判断してもらえる、雑貨って自分にとって間口がある、自分のやりたいことができる世界なんじゃないかなぁと思いました。それでその雑貨屋に就職したんです」

ディスプレイやコラージュは相性がいいもの同士を出会わせる作業

──就職後は会社勤めをしながら、自分で作った貝殻をコラージュしたフレームを都内の雑貨屋さんに持ち込むという、二足のわらじ生活を始める。
「あるときはアパレルメーカーからフレームをひと月で300個受注したこともありました。仕事をいただいたのもうれしかったし、やるといったら絶対やる!とがんばりましたね。ご飯を食べているときも片手にはピンセットを持って。1日2時間くらいしか寝られなかったんですが、すごくたのしくやりました」

──そんな中、お父様の知り合いが開く雑貨屋のディスプレイや仕入れについてのアドバイスを頼まれる。
「1年くらい会社に勤めながら手伝ってましたが、雑貨屋のオーナー夫婦が引っ越すことになって、スペースを譲り受けました。自分が1から10まで作り上げる店を持てることになったんです。これを機に店名もバニラチェアに変えました」

──最初は子供服をメインにそろえていたが、最近はオリジナルの雑貨や大人のウェアも増えてきた。
「フレームとかを手作りするのはすきなんですが、数には限界があるので。それでひとつのイラストからたくさんのものをつくれないかなあと思って。子供の前かけにイラストがついてたらかわいいかも!と思って、実際つくってみたらやっぱりかわいくて。子供服はどんどん増えてますね。それから買い溜めてたアンティークの布とか、自分がつくった布を使って鞄の作家さんにお願いして鞄をつくってもらったり。店のディスプレイはコラージュと似てる気がします。いろんな国籍のものとか、年代が違うものなどをあの小さい店の中に詰めて共存できるよう置いてあげる。組み合わせる、こしらえてまびく作業なんですよね。相性がいいもの同士を出会わせるとまた違うかわいい顔が見えてくる。それはやっていてすごくたのしいですね。店で音楽かけて、細かな作業をずーっとやっているのも大好きです」

──絵本の出版も、雑貨屋同様ずっとやりたかったことのひとつ。
「絵本は自費出版でもいつかは出したいと思っていました。すきな紙質や、本をめくるときの時間や、間のようなものを大切に味わえるような作りにしたいなって。出版社の方に、ラッキーなことにすきなようにつくっていいと言っていただいて。ストーリーも、布ばりや箔押しも希望を通してくれて、すごくやりやすかったですね。絵本は一からつくり出す作業なんですが、普段からあまりメモとかしないんです。子供の仕草や表情、すきな風景などのストックが心にたまってから、いざ描き始めるとどんどん描き進められるかんじなんです」


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