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SPECIAL LIFESTYLE 今、偶然ここにいて

ふたりの出会い

デザイナー・平松謙三さん、フローリスト・平松美加さんのご夫婦は、共に岡山県出身。2人の出会いはお互い美大を目指していた10代のころ。結婚は謙三さん25歳、美加さん24歳のとき。

謙三さん
「彼女は絵、僕はデザインでお互い美大を目指していました。実は今まで、ふたりで共通の目標を持ってやってきたということはなく、お互いを刺激しあいながら、影響をうけあいながら、ということもあまりないのです(笑)。
いっしょに店を持とうという話も全くなかったし、物作りをいっしょにやろうという思いもなかった。今、偶然ここにいて、ただいっしょにいた、そんな感じで今に至っています」

生活空間のこと

現在の住まいである賃貸の1軒家。吉祥寺駅から徒歩12、3分のところにあるご自宅は、住み心地に関しては謙三さんと美加さんでは全く意見が違う。謙三さんは「引っ越したい」、美加さんは「大満足」だという。

謙三さん
「今の間取りだと、食事をする場所が4畳のキッチンだけだし、ふたりで一緒に居られる場所もあまりないので、ライフスタイルに合わないのです。だからリビングのある広々した家で悠々と暮らしたいなぁと。住みはじめて12年くらい経ちますが、家賃の値上げはないし周りもすごく静かで、その点は気に入ってるんですが・・・」

美加さん
「私はこのうえなく満足しているんですけど。バス停が近くて、日当りがよくて、庭もある。周りも大きなお屋敷や学校があるから桜や柿が見られるし、緑も多くて窓を開けたときの景色が私にとってはグーなんです」

趣味も生活スタイルも違う2人は、生活する部屋も別々だ。

美加さん
「生活する時間帯が若干違うし、彼はテーブルとイスを使う"座り派"で、私はすぐ寝転んじゃう"地べた派"。部屋ではアーミー用のタンカをソファ代わりに使っていて、高さがないので、ほとんど床に座っているような感じです。あと、書き仕事はおばあちゃんの形見の文机でしてます」

謙三さん
「もちろん、悲惨なほど趣味が合わないわけではないんです(笑)。家具とかは、ふたりとも、ちょっと古いヨーロッパのものが好きです。また、学校給食の牛乳用のアルミの通い箱は僕の昔からの愛用品で、家では日用品を、アトリエでは仕事に必要なものを入れてあります。どこでも大活躍で、ふたりで取り合いになります。これは、僕は墓場まで持っていきたい。できればこれに納骨してほしいくらい(笑)。
今の家は自分たちが25歳くらいの、まだ若いころに住み始めたので、家の改造にすごく熱意があったんです。だからもろもろの趣味は今より少し若いですけど、古道具屋さんで買ってきたり自分たちで床を貼ったりしていました。しかも、借家なのに自腹で、居住スペースだけ壁をしっくいに塗り替えました。階段やトイレの砂壁はそのままにしていたんですが、つい半年ほど前に砂が落ち始めてきたので大家さんに言ったんです。そしたらそこも全部しっくいに変えてくれて、随分素敵になりました。古い家だからディテールも古いですけど、お風呂場のタイルやそういったところもふたりの趣味に合っています」


ご自宅の外観


玄関


光の変化が味わえる場所


美加さんの部屋


しっくいに塗り替えられた壁の前には美加さんコレクションの猫と蛙たち


謙三さんの仕事スペース


お二人が愛用している牛乳用のアルミの通い箱

愛猫ノロとのくらし

2人の家に黒猫のノロがやってきたのは5年ちょっと前。

美加さん
「アトリエの隣の美容室のお客様が捨てられていた仔猫を連れてきて、見た途端に"あ、これうちの子だわ〜"って。私、前から黒猫を飼いたいと思っていたんです」

謙三さん
「実は僕、猫が嫌いだったんです。もちろん理由があって、当時は鳥も飼ってたので猫はちょっと・・・。でも2、3日いっしょにいたらもうかわいくなってしまいました(笑)。それに、もっと生活を変えてしまう動物かと思っていたのですが、そんなことはなく、楽なんです。賢いし、自転車の籠に乗っけて移動できるし、トイレのしつけも楽だし、静かだし。僕らの飼い方は猫がいるからこうしなきゃ、というものではなく、猫に僕らの生活に入ってきてもらうイメージ。だからアトリエに仕事にいくときも、旅行にいくときも、ノロには僕らに合わせてもらっているわけです」

美加さん
「行きたくない時はちゃんと拒否するんです。旅行中は彼と私のベッド、どちらで寝るか争奪戦なんです。家ではノロの部屋は決まってないので、2、3日私の部屋にいるのが続いたら"ちょっとあっちの機嫌もとらなきゃ"って彼の部屋に行くんです」

謙三さん
「要領良くどちらの部屋にも行くんです。で、僕らはお互いにノロを迎え入れる環境を整えて・・・(笑)。ちなみに、ノロのご飯とトイレは僕の部屋が定位置。トイレも猫用のものではなく、これまた給食の通い箱を使っています」

ノロ目線で書かれたWeb日記も好評で、アトリエの看板猫としても大活躍。ノロ目当てに北は北海道、南は沖縄から訪れる人もいるほど。

謙三さん
「全く期待も想像もしていなかったんですが、驚くべき集客力・・・(笑)。」

美加さん
「こんな駄猫のためにわざわざ遠くからいらしていただいて。お客様も"ノロにブーケを作ってもらいたい!"とおっしゃる方もいるんですが。いや、作るのはノロではなく私なんですけど(笑)。ほんとうに営業部長。でもノロって小さくていい子というイメージがあるみたいで、想像以上の大きさや、愛想のない態度にがっかりされることもあるんです。それに、ここぞという時の反応も遅いので喧嘩も弱くて。それが名前の由来なんですけど」



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