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季節と行事を愛でながら
「夏になるとベランダから屋上にある小学校のプールが見えるんですよ。夕方、ビール片手に眺めるのも楽しい。卒業式シーズンの春は、校庭の桜にちょっとしんみりしたり。この場所から見える風景に、季節の移り変わりを楽しんでいます」そこは、日進月歩で変化する代官山の様子が一望できるマンションの8F。ご自身をモチーフにしたほのぼのとしたイラストと日常に起こる出来事をユニークな切り口で綴ったエッセーで人気の画文家・大田垣晴子さんの仕事場兼住居だ。玄関に入ると、靴箱の上に大中小とちょこんと並んだパンダのマトリョーシカがお出迎え。「そこには月に1〜2回くらい"今の気分"にあったものを置いているんです。このパンダは、友人からのアジア土産。マトリョーシカ好きで、自分でつくったのもあるんですよ(笑)他には、季節のお花だったり、七夕などの行事モノなども。季節や行事ごとって、自分のなかでは大事。子供の頃から当たり前にやっていることだから、やらないと気持ち悪くて(笑)」
"捨てる"スタイル
2LDKのリビングダイニングは、築37年とは思えない程さっぱりしていて潔いほどシンプルな雰囲気。家の中で1番好きという窓際には、無印良品の白いソファとレトロなカーテンの隙間からこちらを覗くリーゼントの"チャッキー"人形が。「私の描くキャラクターの影響か、よく可愛いもの好きと思われるのですが…。これ家にある唯一の人形で。似てる!って、友人にもらったもの。髪型は友達のヘアメイクさんがいつも家にやって来ては、その都度変えていって(笑)」
お客様が来たら座布団を並べてちゃぶ台を囲むという大田垣さん。
「基本的に床に座るスタイルが寛げるし、部屋が広く使えていいですね。モノって、ちょっとずつ増えていくもの。なくてもすむモノは、いらないと思っていて。無駄なモノが、キライなんです(笑)自分自身をリセットするためによく引っ越しをするので、モノには執着しないかな。とにかくモノを増やしたくない!ので、仕事の資料も使い終わったら全部捨てます。なんて言いつつ、実はあってよかったモノもあるんですけどね(笑)それは、夏のエアコン、TVとビデオデッキ。それから最近購入した業務用コピー機だったり。仕事以外でも描くことが好きで、友達にプレゼントするワインのラベルなどをつくるのに便利なんです。」仕事の合間には、お茶セットアイテムで息抜き。お気に入りのコナ珈琲には、泡泡して楽しい!というミルクフローサーでつくったホイップを浮かべるそう。自分にとって本当に必要なものだけが、厳選されて少しずつ増えていく暮らしぶりがうかがえる。
ビールの輪、ひろがって
大田垣さんは、よくホームパーティを開く。その模様やレシピは、大田垣さんが食学部の教授をつとめ5年目を迎える『キリンビール大学』でも垣間みることができる。「"うれしいな"を人に提供するのが好きなんです。お酒のつまみは、簡単でうまい!が基本。キリンビール大学でも、毎回季節に合わせたビールにあう料理のレシピシリーズも連載しています。助教授の美和ちゃんには食材の効用や由来などの専門的なことをフォローしてもらってます。普段は、好みの匙加減でぱぱっと家でも作っているんです。夏になると、きゅうりとか食べたくなるし、大根は食べたくないな、なんて感じで、旬の素材でレシピを決めて。ホームパーティは、たまたま近くに友達が何人か住んでいたのがきっかけ。"明日大丈夫?"と声をかけて、集まれる人に気楽に集まってもらうことが多いですね。時には10人以上集うことも。七草粥しようよ!とか、築地に行っていい魚が手に入ったからウチ来ない?だとか(笑)8年前から代官山に住んでいて、近所の飲み友達もいつのまにか沢山増えました。気心知れた仲間だと、私1人酔っぱらって寝ちゃって、友達が布団を敷いてくれて、起きると顔中落書きされている…なんてことも(笑)」
とりあえず!お疲れビール!
そんな大田垣さんは、規則正しい生活をしている。きちんと朝ごはんを食べてから仕事にとりかかり、午後は仕事部屋や、景色を変えてファミレスやファーストフードでアイディア出しをしたりとデイタイムはみっちり集中モード。
仕事が好き、という大田垣さん。それだけに、仕事の後の"とりあえず!ビールで!"は、1日の最も楽しみな瞬間という。「ビールを飲む時の、ギュッとする喉ごしがたまらない。冷たいあのシュワシュワを、一気に飲みたい(笑)だから、グラスをキンキンに冷やした居酒屋が好きだし、ホームパーティでも冷蔵庫で冷やしたグラスでビールをふるまっています。」
普通の生活がくれるもの
普通の生活をしているという大田垣さんにとって、贅沢とは?「例えば日中からビールを飲むのは、かなり贅沢ですよね(笑)よく取材旅行に行くのですが、旅館でおじさん達が朝から飲んでいるビール、あれは贅沢だなあと。いつかやってみたいものです。ビールが美味しく飲めるのは、健康だから。丈夫に生んでくれた親には感謝しています。
あとは、ふつうにやりたい時に、やりたい事をできるってことが贅沢かな。やりたくないことは、やりたくない!これは私の人生のテーマでもあるのです。もちろん我慢しなきゃいけないこともあるんですけど、貫けたらいいかなあと(笑)」
「ほんとに私、すべてが普通なんですよ」と笑う大田垣さん。その画文から滲みでるささやかだけど「ふっ」と笑ってしまうどこか温度のある小気味よさは、規則正しく日々をつむぐ普通の生活だから生まれる、ちょっと贅沢でしかも大人であれば誰もが楽しむことができる"仕事の後のお疲れビール"のようなものなのかもしれない。
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