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SPECIAL LIFESTYLE
お互いの「好き」に寄り添う暮らし。 著述家 石黒謙吾・コラムニスト 石黒由紀子

都内の閑静な住宅街に突如現れる欅(ヒノキ)の参道をひかえたマンションに、著述家の石黒謙吾さんとコラムニストの石黒由紀子さんご夫妻の住まいがある。緑あふれる中庭からエレベーターで7階に上がり部屋の中へ入ったとたん、子犬(豆柴・7ヶ月)が勢いよくこちらに駆け寄ってきた。

南向きのベランダからさし込む光が、刷毛の後がうっすらと模様をつくる壁の凹凸を明るく照らしている。自分達で塗っただけに愛着もあり、年月を経て好みの味わいに変化しているのだとか。石黒家のメインフロアであるリビングダイニングには、そんなニュアンスのあるクリーム色の壁に、コレクティブル調の本棚やシンプルな白い布地のソファが映える。ベランダ近くのダイニングテーブルには、謙吾さんの指定席という張り革が破れるまで愛用されたチェアをはじめ、デザインが異なる木の椅子があわせられている。「犬と住めるマンションを探していて。2ヶ月あまりかけて都内で30件以上の物件を見ました。ここは築20年以上のマンションなので、最初はすごくボロボロだったんですよ(笑)。でも初めからリフォームを前提とした購入を考えていたので古さは問題なかったんです。むしろピカピカの新築はイヤだった」と謙吾さん。

物件選びの決め手は?「周囲に高い建物がなく見晴らしのよさが気に入りました。あと、HORI製のスペアキーが格好よくて(笑)艶のないシルバーの角丸フォルムが昔っぽくて渋いでしょ。木とシルバーの組み合わせが好きなんです。オーディオスペースの後ろは、元々白い壁だったんですけど、ぜんぶ木に変えました。いつもソファに座った時に向いている場所だからこそ、落ち着ける木がいいなあと。リフォーム当初、業者さんが間違えて木にニスを塗ってテカテカになってしまっていて。それがイヤで全部落としてもらったんです。自分達でも、さらにヤスリで削ったりして、最近ようやくいい味が出てきたんですよ」そんな思い入れのある木の壁は扉になっていて、開けると無印良品のクリアボックスが隙間なく並ぶ全面収納に。「テレビの枠もハンズで見つけた木材シートを貼って。フローリングの床材は、ロシアの川から雪解けを待って流されてきた唐松を幅広にカットしてもらいました。その際に余った唐松をブロックにしてオーディオ台をつくったんです。ちょうど鴨居で使われた切れ端に溝があって凹凸部分にはCDをディスプレー。音楽鑑賞が好きなので中高低音が自分好みのイギリス製(MUSICAL FEDELITY、B&W)オーディオ響を揃えました。僕、居心地のよさには妥協できないタイプなんです(笑)」常に数十本の書籍の企画を進行中という多忙な生活を送り、家ではのんびりと過ごしたいという謙吾さん。ディテールへのこだわりが随所に反映されている。

キッチン
キッチン
さりげなく置かれたドッグプレート
さりげなく置かれたドッグプレート
集めているもの 崎陽軒の"醤油挿し"。
集めているもの 崎陽軒の"醤油挿し"。
由紀子さんが京都四条で購入した"一生使いたい"箒。
由紀子さんが京都四条で購入した"一生使いたい"箒。

「ふだんの原稿書きの仕事は、陽のあたるダイニングテーブルでしています。あとは外で昼間から銭湯に入ったり、湯上がりにビールを飲んだりなんていう、ゆるい街取材も(笑)主人も銭湯が好きなので、ふたりで散歩がてら近所に幾つかある銭湯に行ったりすることも」という由紀子さん。キッチン関連の収納は、無印良品の棚に。低めのものにしたのは、背の高い食器棚だと空間が狭く見えてしまうからとか。もともと好きで集めているお気に入りの麻のキッチンクロスや、手触りや形が作家の個性を反映する趣ある陶器のお茶碗などが整然と並べられている。この陶器のマグで飲むビールで晩酌を楽しむという。謙吾さん曰く、素焼きのマグだと、泡がきめ細かくたち過ぎるので、釉を薄くかけられた陶器の方がビールには合うそうだ。「見せる収納って、埃などが気になるという方も多いと思いますが、使う前にさっと洗うから気にならないですよ。最近、水切りカゴを廃止してみたんです。最初はちょっと抵抗があったけど、キッチンクロスの上に洗ったお皿を置いておくと乾きが早い!その都度拭いてから棚にしまうんです。やってみると空間がすっきり使えるし効率的でいいなあと(笑)料理は、ほとんどルクルーゼの鍋に頼っていて。野菜など素材のもつ味わいがまろやかで深く感じられます。今迄使っていたものと全然違うことに驚きましたね。ご飯を炊いたり、野菜を煮込んだりと、この鍋ひとつで色々つくっています。基本的に食材を切って煮るという"キルニル"料理が中心ですね(笑)オーブントースターやフードプロセッサーは、主人の好きな艶のない質感のシルバー系のものにして統一感をだしました。でも、冷蔵庫の色については、最後まで白かシルバーかと二人で議論して。結局、私の意見が採用に(笑)」と由紀子さん。「今ではこっちでよかったと思っています」と謙吾さんが笑う。

部屋には、海外製の缶詰めに耐熱用のアルミホイルを敷いたアロマキャンドルが。「仕事の内容やその時の気持ちにあわせて選んでいます。香りのプラスαで、原稿がスムーズに書けたりも。今日は、素朴なざくろの香りにしてみました。"ディプティーク"などの品のある香りが好きですね。犬を飼っているので、匂い対策にもなります」と由紀子さん。「じつは僕は"ラッシュ"なんかのわかりやすい香りが好み。アメリカ野球や、ブルー×オレンジのビビッドなカラーリングも大好きで。渋谷にある事務所では、バスボムをルームフレグランス変わりにしたり、思いきりPOPなインテリアにしています(笑)」と謙吾さん。寝室の枕もとには、由紀子さんが寝る前によく手にするという好きな写真集と共にアロマキャンドルが置かれていた。

リビングダイニングで休日は犬と一緒に寛ぐ時間が多いという石黒さんご夫妻。犬のエサを入れるプレートから、ソファに転がる犬のオモチャにいたるまで、この家には何故か所謂ペットっぽさがない。「犬を飼っています的な部屋にはしたくなかったんです。これから年を重ねて、収納扉やフローリングの木目にも深い味わいがでてくるのが楽しみで。できれば扉のドアノブも艶なしシルバーのものにしたいですね(笑)」質感ひとつにもこだわる謙吾さん。ディテールの変化を楽しみながら、お互いの好みやスタイルをしっかり理解し合って、ひとつの空間を作り上げている。

リビングダイニング
バナナスタンドをヘッドフォンスタンドに!
バナナスタンドをヘッドフォンスタンドに!
お掃除の間、愛犬はマルシェバッグに。
お掃除の間、愛犬はマルシェバッグに。
ベッドルーム
ベッドルーム
玄関先には謙吾さんが学生時代から愛用するLeeのブーツジャックが。(画像一番左)壁にはお気に入りのぬいぐるみなどを手提げに入れて。(中央左)しりあがり寿氏の直筆イラスト(中央右)来客用のスリッパ代わりに草履を籠に。(一番右)
■プロフィール
石黒謙吾(いしぐろけんご)さん
1961年金沢市生まれ。おもな著書には『盲導犬クイールの一生』(文藝春秋)、『バニの家族』(学研)など犬に関するものをはじめ"分類王"としての『図解でユカイ』(ゴマブックス)や『ダジャレ ヌーヴォー』(扶桑社)など。編集者としても書籍『ザ・マン盆栽』(文春文庫PLUS)など、幅広いジャンルで本作りを手がける。

「BLUE ORANGE STADIUM」ホームページ
http://www.blueorange.co.jp/
<TOPICS>
クイールの原作者が動物と人間を愛するあなたに今伝えたい絵本です。
『どうして?』〜犬を愛するすべての人へ〜
原作:ジム・ウィリス 文:石黒謙吾 絵:木内達朗 アスペクト刊/1,OOO円(税別)

◆間取り(広さ)/70平方メートル)
◆居住(利用)年数/3年半

◆好きな色/ブルーとオレンジ
◆好きな食べ物/お好み焼き
◆好きな有名人/タモリ
◆好きな音楽/スカ、バロック
◆好きな本/アート本全般
◆趣味/草野球

石黒謙吾さんのオフィス
石黒由紀子(いしぐろゆきこ)さん
1964年栃木県生まれ。『Pooka』(学研)、『野性時代』(角川書店)、『いぬのきもち』(ベネッセコーポレーション)の連載をはじめ、『CREA』(文芸春秋)ほか女性誌、犬関係の雑誌、WEBを中心に 執筆。著書に『カップル・ストーリーズ』(エクスナレッジ)、『GOOD DOG GOODS!』(アスペクト)、『GOOD DOG NEWS!』(アーリストインターナショナル)がある。
<TOPICS>
ゆる〜い1日のお供に。「Pooka」人気連載のほんのり和めるエッセイ集。
『なにせ好きなモノですから』
著者:石黒由紀子 学習研究社刊/1,1OO円(税別)

◆好きな色/白
◆好きな食べ物/ちりめんじゃこ
◆好きな有名人/キャサリン・ヘップバーン
◆好きな音楽/NR BQ
◆好きな本/富士日記
◆趣味/さんぽ

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