|
三津間智子さんは、心だけでなく目にもダイレクトに新鮮な驚きと喜びを与えてくれるアーティスト。
植物をモチーフにした作品制作とディスプレイ、雑貨制作(オリジナルブランド「melon」)などの創作活動を行っている。
4月後半までパリで行われた”ギャラリー フレッシュ アティテュード”での展覧会に参加してきたばかりだ。
「食品に関する展示を多く手掛けるギャラリーのVERT(ヴェール:フランス語でグリーンの意味)という展覧会で、
"ビュッフェパーティ"をテーマに空間演出をしてきました。昨年、植物で作ったケーキの展示をパリで行ったのでお声をかけていただけて。
例えば現地では、ホテルのビュッフェで使われるような足付きのシルバープレートに、コケで作ったドーナツやテイラミスを並べたり。
インスタレーションでは備品も大切な要素。パリのスタッフに協力してもらって、本格的なビュッフェ用のシルバーウェアを用意できたんです。
会期中、私の不在時には、彼女たちが水やりなど植物のお世話もしてくれて。何しろ扱うものが植物!いつも最高の状態に保つ為の配慮が必要なんです」
そんな展示がパリジェンヌ達にも好評だった三津間さんの住空間とは?「玄関に入ってすぐのところにあるディスプレイコーナーが、
最近のお気に入り。アロマキャンドルで有名なディプティークの綺麗なガラス瓶や、イタリアのフィレンツェに本店があるサンタマリアノベッラのパッケージなど、
使い終わってからもあんまり美しいので飾っていて。特にサンタマリアノベッラは、昔から修道院が運営する薬局でつくられている由緒正しいもので、
容器の清楚なイメージだけでなく化粧品や石鹸の香りもとてもよくて、今マイブーム(笑)お値段は少々高めだけれど、いつもよりちょっとお金を出すだけで
自分好みのモノを楽しめて贅沢な気分に。
お花は雰囲気のある紫陽花などをドライにして活けています。仕事で使うたくさんの鉢植えは、ほとんど南向きのベランダに集中して置いています。
ここだと日当りもよいし、水やりも一度にできて楽!いつもいるリビングから一望できるので、植物の様子が手に取るようにわかるのもいいですね。
近著の『ウエキ洋菓子店』には、面倒くさがりやの私でも枯らさずに育てられた植物ばかりが登場しているんですよ(笑)。
誰でも気軽に楽しんでもらえたらいいなと思って、植木のケーキ風アレンジや演出例に加え、植物の育て方や土選びなどの情報も載せました。
部屋づくりのこだわりとしては、籠収納かな。ディスプレイの仕事には細ごまとした道具がたくさん必要なので、マルシェバッグなどの籠にポンポン入れています。
海外ステイの帰りなど、荷物が入りきれなくなった時にも大きめの籠はとても重宝して。だから海外へ行くたびに、籠ばかりどんどん増えてしまいます(笑)あと、
アンティークのプラスチックものが大好きで。ヴァンヴの蚤の市で買ったお気に入りの小さなカップを、窓辺に並べて楽しんでいます」
もともと植物や立体的なものが好きだったという三津間さん。多忙なグラフィックデザイナーの仕事から転身を図り、
サザビー宣伝部でディスプレイの仕事を始め、ショーウィンドウなどを手掛けた。独立後に興味のあった山野草を学ぶうちに「器がどれも同じような形態で、
自分が使いたいようなプランターがない」と思い陶芸教室へも通い始めた。そんな経験を通してしぜんに「植物をテーマに表現がしたい!
ただキレイだけなのではなくてちょっとしたユーモアや面白さがある"生活の中で誰でも楽しめるものを創りたい"」という気持ちがはっきりと
芽生えたのが今の表現に繋がるきっかけになった。サザビーで共に働いた仲間とは今でも仲がよいという三津間さんは、彼女たちとディスプレイユニット
「m & m & m's」を結成したり、メンバー全員で料理教室に通ったり。先のサンタマリアノベッラのような気になる雑貨やショップなどの
情報を交換しあうなど日常でも影響を与え合っている。「海外出張では素敵なショップをたくさん巡ることができて良い経験になったし、今考えると贅沢な環境だったなあ」
と爽やかに笑う。独立してからもパリへは毎年行っているのだとか。
そんな海外での展覧会にも多く参加している三津間さんの、今いちばん気になっている国はスウェーデンという。
「一昨年に行われたイベント"Tokyo Style in Stockholm"に参加したのですが、何しろ人が最高。皆さん親切で、見るもの全てがステキでした。
ホームステイでお世話になったフラワーコーディネイターのグンナル・カイさんの"無駄なものを持たない生活"に感銘を受けました。
あちらでは珍しいキッチュなセンスの雑貨やカラーコーディネートなども私好みで。行ったのは夏。途中からお二人はバカンスに出かけられたんです。
留守の間に家を貸してくれるなんて、いい人達だなあ!と。現地で植物を扱うショップ選びや備品の買い物など献身的に協力してくれた女の子に聴いた"スウェーデンの人って、
夏は明るいんだけど冬は日照時間が少なくて1日のほとんどが暗い。だから人も冬だけ内向的になるのよ"なんて話も面白くて。今度は夏以外の季節でも行ってみたいなと思っています(笑)」
パリのラフなキッチュ感も好きだという三津間さん。「去年“ウエキ洋菓子店in Paris”という個展をした
“ギャラリー ラ・ペリフェリ”のオーナーのマルティーヌさんは、キッチュな作品を作る素敵なアーティスト。著書などを通して以前からそのスタイルに共感していて。
"生活に溶け込んで、作品が活きてくる"という、今の私のスタイルに大きな影響を与えてくれた人なんです。ある日、知人を介してマルティーヌさんと出会うことができて、その後、
パリに行った時に作品の写真を持って彼女のギャラリーに遊びに行ったんです。そしたら"じゃあ、パリに来てみない?"って(笑)。
そうして彼女のギャラリーで個展をさせてもらうことができて…もう夢のようでした。精力的にアーティスト活動もされている、今でも私の憧れの女性です」
旅が好きだという三津間さん。「"ジョイフルホンダ"などDIY関係のお店を見つけたら、すぐ飛び込んでしまうんです(笑)
キレイな色の台所ネットやナイロンのテーブルクロスなどを見つけては、これは作品に使えそう!なんて考えるのも楽しいですね」どこにでもあるような身の回りのモノや特別めずらしくない植物たちも、
ちょっと見方や使い方を変えるだけで、はっとするような可愛らしさや美しい存在感を開花させてしまうのは流石だ。
|