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まだ引っ越してきたばかり、という松江香子さんは、ドッグホリスティックケアの第一人者である。ドッグホリスティックケアとは、簡単に言えば犬の心と体を癒す方法のこと。しかし内容は多岐に渡り、マッサージなど技術的なことはもちろん、心理的な面、食事や環境など、あらゆる角度から愛犬が健康でハッピーに暮していくためのケアを提案している。松江さん自身も、まだ3ヶ月くらいという仔犬トニーを育てている。捨てられていた雑種犬だが愛情あふれる中で育てられ、子犬らしい人懐っこさを見せながらも、どこか大人びて落ち着いた雰囲気がある。家でお留守番させても、悪さはしないという。「私の犬への接し方は、上下関係というよりも、信頼関係を大切にして、自分自身が心を落ち着かせて犬と会話する、という感じかもしれないですね」。
部屋は温かみのある白を基調に、柱や扉など、ところどころにペールトーンのグリーンを塗ってアクセントを付けている。床は北海道の集積材を使い、木目の色の微妙な変化がモザイク調でリズミカルな印象である。メリハリを持ちながら、すがすがしさを感じさせる北欧風のインテリアだ。壁にも棚にもあまり飾り付けはなく、至ってシンプルなスタイル。窓からは明るく日が差し込み、白壁にはブラインドが優しいストライプの影を作る。アメリカで数年間暮したこともある松江さんだが、現地ではよくモデルルームを見学していたそう。「お家を見るのは趣味で、好きなんですけどね。南カリフォルニアでは分かりやすいくらいゴージャスなインテリアを多く見かけましたがちょっと落ち着かないと言うか。北欧は木を多く使い、ぬくもりを感じさせるインテリアです。日本人の感性に近い雰囲気がありますよね」。
愛犬にとって心地よい住まいについて聞いてみた。「犬の寝床とか、一人になれる場所を作ってあげてください。犬だって、飼い主がうっとおしいと思うときもあるんです。部屋の奥のほうの落ち着く場所にしてあげてください。そして、一番大事なのは飼い主にとって気持ちのよい空間であることでしょうか。飼い主が気持ちよく落ち着いた気分になると、犬の心も自然と安定するんですよ」。ちなみにドッグマッサージのときにテレビはつけないほうが良いという。「テレビをつけていると人間自身が気が散って犬の身体や息遣いことを十分に感じ取れなくなります」。部屋ではゆったりと心地よく、リラックスできるような季節に合わせたヒーリング音楽が流れていた。
夕食はキャンドルの明かりを灯して楽しむ。昼間の生き生きとした明るさから一転して、ゆったりとロマンティックなムードを醸し出す。部屋の明かりをできるだけ落として、壁にかけたタピストリー調のクロスが美しく浮き上がるよう、効果的な照明を当てる。
バスルームでもキャンドルを使うことがあるという。バスルームは前面に透明なシャワーカーテンを取り付け、開放感のあるつくりになっている。「本当は最初、外国のホテルみたいに、ガラス張りにしたかったんですけどね(笑)」。シャワーの水圧が強く、カーテンが外に飛ばされるのを防ぐため、洗面所との境目の床に、ガラスブロックを敷き詰めている。これはなんとイタリア製で、大江戸線の赤羽橋駅にも同じものが使われているのだそうだ。サンプルを取り寄せてもらったため全て模様が違っており、返って面白いリズム感を出している。ガラスブロックとカーテンが光と水の屈折によって、目に優しい柔らかな揺らぎを演出しているのだ。
日中は太陽、夜はキャンドルで照らされるこの部屋は、犬の精神状態にもよい影響を与えるようである。ろうそくの炎は1/fゆらぎを持ち、人の心拍のリズムと同様であることから、自然とリラックス感をもたらす。また、ろうそくの炎からは、健康にいいマイナスイオンが流れているともいわれている。
のんびりとしたトニーの様子を見ていると人の心も和み、この空間には人と犬の間にあたたかな空気が流れているようだ。
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